a, b を正の実数とする。
\(f(x)=-\dfrac{a}{2}x^2+bx+\dfrac{a}{2}-1\) とする。
2次方程式 f(x) = 0 の解が \(-1\leqq x\leqq \sqrt{2}\) に存在するような
a, b の条件を求める。
定跡といわれるような方法があるのだが,
あえて,新しい定跡を作ってみようと思う。
もちろん結果やベースとなる知識は同じなのだが,
必要条件から狭めていくか,十分条件から広げていくかの方向性が異なる。
まず f(-1) に注目する
これが 0 になる条件は十分である。
f(-1) = -b - 1 であるが,b は正の数であるから,
残念ながら,
f(-1) は 0 になることがなく,仮定より負の数である。
だが,
\(f(\sqrt{2})\geqq 0\) ならば 指定された範囲に少なくとも1つ
2次方程式なのでちょうど1つ解をもつので 十分である。
\(f(\sqrt{2})=\sqrt{2}b-\dfrac{a}{2}-1\geqq 0\)
すなわち \(b\geqq \dfrac{\sqrt{2}}{4}(a+2)\) は十分である。
さて
\(b < \dfrac{\sqrt{2}}{4}(a+2)\) のときは 全く条件を満たすことはないのだろうか
これは
\(f(\sqrt{2}) < 0\) を意味している
放物線 y = f(x) は上に凸だから,
頂点が \(-1\leqq x \leqq \sqrt{2}\) かつ \(y\geqq 0\)
にあれば,
指定された範囲に2つもつ
\(f(x)=-\dfrac{a}{2}\left(x-\dfrac{b}{a}\right)^2+\dfrac{b^2+a^2-2a}{2a}\) より
\(-1\leqq\dfrac{b}{a}\leqq\sqrt{2}\) かつ \(b^2+a^2-2a\geqq 0\)
以上より
a > 0, b > 0 は前提として,
\(b\geqq \dfrac{\sqrt{2}}{4}(a+2)\)
もしくは,
\(0 < b \leqq \sqrt{2}a\) かつ \(a^2+b^2-2a\geqq 0\)
もちろん,従来どおり,
ちょうど2つもつ場合,ちょうど1つもつ場合と場合分けしてもよい。
これは,必要条件から必要十分条件に迫る方法で,
従来の問題解法の学習ではよく見受けられる。
それぞれの条件を式で表現できることはよいことである。
だが,その方法は知識を身につける学習としてはよいが,
今回の場合のようにちょうど1つもつ場合が,
一方の \(f(\sqrt{2})\) だけの条件になってしまうと
余計なことまで気をつかってしまう。
このステップのような,
条件を切り分けていく,
十分条件から必要十分条件に迫る
問題に対するアプローチは
問題に取り組む上で実践向きであると考える。