131025 初版 131025 更新
平面上のベクトル\(\vec{a}\), \(\vec{b}\) が
\(|\vec{a}|=|\vec{b}|=1\), \(\vec{a}\cdot\vec{b}=-\dfrac{1}{2}\) を満たすとする。
(1)
実数 p, q に対して、\(\vec{c}=p\vec{a}+q\vec{b}\) とおく。
このとき、条件
\(|\vec{c}|=1\), \(\vec{a}\cdot\vec{c}=0\), p > 0
を満たす実数 p, q を求めよ。
(2)
平面上のベクトル \(\vec{x}\) が
\(-1\leqq\vec{a}\cdot\vec{x}\leqq 1\),
\(1\leqq\vec{b}\cdot\vec{x}\leqq 2\)
を満たすとき、
\(|\vec{x}|\) のとりうる値の範囲を求めよ。
(1) は前座という感じがする。
(1) だけなら計算だけで解くことも可能だが、
(2) は図形で表現したイメージを使うのがよい。
\(\vec{x}=s\vec{a}+t\vec{b}\) …①とおく。
この一行は、たった一行だが大きい。
これができれば、しばらくはほぼ計算だが、
ある意味、問題を数学的に解決するための偉大な一行である。
数学の問題だから、数学で解決するのは当然だろうと思われるかもしれない。
他の科学の問題だったらどうするのだろうか。
また、数学ですら、大学入試問題くらいになると、
解決の方法は複数あることがある。
ここが、確かに数学は記憶だけではない点である。
できるだけ簡単に解説してください。という人に数学ができる人はいない。
その問題は解けるようになっても、本質が理解できないので、
その問題が解けるしくみを、他の問題に適用できないからだと思う。
この考えは\(\vec{x}\) を,affine 座標
で表現しようという思想である。
\(-1\leqq\vec{a}\cdot\vec{x}\leqq 1\) ⇔ \(-1\leqq s-\dfrac{1}{2}t\leqq 1\)
\(1\leqq\vec{b}\cdot\vec{x}\leqq 2\) ⇔ \(1\leqq -\dfrac{1}{2}s+t\leqq 2\)
① とおけば、この言い換えは簡単である。
ただ、\(\vec{x}\) に対して \(\vec{a}\), \(\vec{b}\) を
「掛ける」という操作は知っておくといい。
そしてこの先、
この不等式で表された点の存在範囲を図示できるかである。
例えば、
\(\vec{x}=s\vec{a}+t\vec{b}\), \(s-\dfrac{1}{2}t=1\) で表される点は、
\(\vec{x}=s\vec{a}+(-\dfrac{1}{2})(-2\vec{b})\), \(s-\dfrac{1}{2}t=1\) と第1式を変形して
\(\vec{a}\), \(-2\vec{b}\) を位置ベクトルにもつ2点を通る直線上にある。
これは、affine 座標 [1,0], [0,-2] である2点を通る直線AKである。
同様に、
\(\vec{x}=s\vec{a}+t\vec{b}\), \(-\dfrac{1}{2}s+t=2\) で表される点は、
これは、affine 座標 [-4,0], [0,2] である2点を通る直線LMである。
点 Q は直線AK と LM の交点である。
\(s-\dfrac{1}{2}t=1\), \(-\dfrac{1}{2}s+t=2\) を同時に満たすから,
affine 座標は \(\left[\dfrac{8}{3},\dfrac{10}{3}\right]\)
したがって,
この不等式を満たす点の存在範囲(領域)は,
四角形BPQM の周および内部である。
\(|\vec{x}|\) の最小値は \(\vec{x}=\vec{b}\) (点B) で 1
\(|\vec{x}|\) の最大値は \(\vec{x}=\dfrac{8}{3}\vec{a}+\dfrac{10}{3}\vec{b}\) (点Q) で \(\dfrac{2\sqrt{21}}{3}\)
\(1\leqq |\vec{x}| \leqq\dfrac{2\sqrt{21}}{3}\)