積分と微分の関係 ニュートン・ライプニッツの定理

200202 初版 200202 更新
コンビニの弁当を買うと,温めに電子レンジで, 500 W なら 4 分 10 秒と書いてありました。 250 秒ですから, 125000 J の熱量が必要だということです。
Mさんの家の電子レンジはポンコツで, 電源を入れたときこそ 700 W の出力ですが, 時間とともに指数関数的に出力が減っていき,4分経つと半分になります。 この電子レンジでは,何秒間加熱すればよいでしょうか。 (電源を切ってすぐには出力700 Wには戻らないです。)
時刻 t(秒) における出力 f(t) は a = 700, \(\mu=\dfrac{1}{240}\log 2\) とおくと,
\(f(t)=ae^{-\mu t}\)
時刻 0 から x までの熱量を\(\dfrac{x}{n}\) 秒ごとの刻みの和で表すと, f(t) は単調に減少する関数だから,多く見積もって
\(\displaystyle{ F_n(x)=\sum_{k=0}^{n-1}f\left(t_k\right)\Delta t }\),  ここで \(t_k = \dfrac{x}{n}k\), \(n\cdot \Delta t = x\)
n を限りなく大きくしたときの, \(F_n(x)\)の極限を考えれば,時刻 0 から x までの熱量を求めることができます。
\(\displaystyle{F(x)=\lim_{n\rightarrow\infty}F_n(x)}\)
F(x) を f(t) の t = 0 から x までの積分ということにします。
この F(x) を \(\displaystyle{\int_0^xf(t)dt}\) と表すことにします。
一般に x を積分変数として
f(x) の x = a から b までの積分とは 次の 重み付き和 のことをいいます。
\(\displaystyle{\int_a^bf(x)dx}\) \(\displaystyle{ =\lim_{n\rightarrow\infty}\sum_{k=0}^{n-1}f\left(x_k\right)\Delta x }\)
ここで,\(x_k = a+k\cdot\Delta x\),  \(\Delta x = \dfrac{b-a}{n}\)
ところで,
ある a に対して
F(x) の x = a から a + h までの増分を考えると
F(x) の作り方から
\(F(a+h)-F(a)\) は だいたい \(f(a)\cdot h\) に等しいと考えられます。
したがって,F(x) の x = a における微分係数は f(a) に等しいと考えられます。
\(\displaystyle{\lim_{h\rightarrow 0}\dfrac{F(a+h)-F(a)}{h}=f(a)}\)
つまり,F(x) を 微分すると f(x) となります。
\(\dfrac{d}{dx}F(x)=f(x)\)
微分すると f(x) となる関数を, f(x) の原始関数 あるいは 不定積分と呼んでいます。
この問題では,
\(F(x)=\dfrac{a}{\mu}\left(1-e^{-\mu x}\right)\) とおくと, \(f(x)=ae^{-\mu x}\)でしたので,
\(\dfrac{d}{dx}F(x)=f(x)\) かつ \(F(0)=0\) が成り立ちます。
ここで,F(x) = 125000 を解いてみましょう。
A = 125000 とおきます。
\(x = \dfrac{-1}{\mu}\cdot\log(1-A\cdot\dfrac{\mu}{a}) = 251.0711\cdots\)
ということで, 4 分 11 秒余り となります。