教科書などにあまり書いていないが,
問題を解くときや物理などの応用へ利用価値の高い考えである。
参考: 三角比の定義
実際,
\(\vec{p}\)と\(\vec{a}\)のなす角をθとすると,
\(\cos\theta=\dfrac{\vec{p}\cdot\vec{a}}{|\vec{p}||\vec{a}|}\)
正射影の定義により,\(|\vec{h}|=|\vec{p}||\cos\theta|\)だから。
正射影の大きさが上の式で求められるから,
\(\vec{a}\)と同じ向きの単位ベクトル
\(\dfrac{\vec{a}}{|\vec{a}|}\)の\(|\vec{h}|\)倍でよい。
最後の式は,おもむきがある。
応用として,
直線\(l\): \(ax+by+c=0\)と点A\((x_1,y_1)\)の距離\(d\)
を求めてみる。
\(l\)の法線ベクトルは\(\vec{n}=(a,b)\)である。
直線\(l\)上の任意の点をP\((x_0, y_0)\)をとって,
\(l\)とAの距離は\(\overrightarrow{\rm AP}\)の\(\vec{n}\)への正射影の大きさであるから,
\(\dfrac{|\vec{n}\cdot\overrightarrow{\rm AP}|}{|\vec{n}|}\)
ここで,
\(\vec{n}\cdot\overrightarrow{\rm AP}
=a(x_0-x_1)+b(y_0-y_1)
=ax_0+by_0-(ax_1+by_1)\)
Pは\(l\)上の点である⇔ \(ax_0+by_0+c=0\)より
\(\vec{n}\cdot\overrightarrow{\rm AP}=-(ax_1+by_1+c)\)
よって,
点と直線の距離公式は,
正射影の考えを使うと,
こんなにあざやかに導かれる。
法線ベクトルへの正射影は点の高さなのである。
この考えは立体の高さを求めるときに威力を発揮する。