例題のない教科書という趣旨からは,
少しずれるようで気がひける。
誰が呼んだか 群数列
数列とは本来リニア(linear)なものだが,
群数列は 2次元数列とも呼べるもの。
ダブルインデックスな数の並びである。
正の奇数の列を,次のように群に分ける。
ただし,第n群には n個の奇数が入るものとする。
1 | 3, 5 | 7, 9, 11 | 13, …
(1) 第n群の最初の奇数を求めよ。
(2) 第n群にあるすべての奇数の和を求めよ。
第 n 群,m 番目の項を An,m と書くとすると,
A1,1,
A2,1,
A2,2,
A3,1,
A3,2,
A3,3,
A4,1, …
となる。通常の数列は各群の項数が 1 の群数列とみることができるし,
各群の項数が一定ならば,そんなに複雑ではない。
各群の項数が(規則はあるが)不定なので,問題が複雑になっている。
そこで,表にまとめることを考える。
群 |
先頭の値 |
|
末尾の値 |
項数 |
先頭の通し番号 |
末尾の通し番号 |
1 |
1 |
~ |
1 |
1 |
1 |
1 |
2 |
3 |
~ |
5 |
2 |
2 |
3 |
3 |
7 |
~ |
11 |
3 |
4 |
6 |
4 ① |
13 |
~ |
19 |
4 |
7 |
10 |
5 ① |
21 |
~ |
29 |
5 |
11 |
15 ☆ |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
n-1 |
|
~ |
|
② |
|
④ |
n |
⑦ |
~ |
⑧ |
③ |
⑤ |
⑥ |
① 設定をまとめただけでなく,
少し先の群の様子を書いてみる。
通し番号という列があるが,
これを考えるのが群数列のポイントである。
本来2次元の表のように数を並べるものを,
一列にするために要りようである。
この問題の設定では,まず ② ③ が書けるのではないか。
第n-1群の項数は n-1, 第n群は n項である。
表のこの部分に注目する。
☆の 15 は 1 + 2 + 3 + 4 + 5 と等しい。
これは偶然ではない。
自分なりに考えてみよう。
ここの理解に,
群数列が分かるかがかかっている。(群数列の第2定理)
すると,④ は
1 + 2 + 3 + 4 + … + (n-1) で
\(\dfrac{1}{2}n(n-1)\) となる。
これは本来は n が 2以上のときで考えたものだが,
n が 1のときも成り立っている。
⑤ は ④ に 1 を加えればよい。 (群数列の第1定理)
⑤ は \(\dfrac{1}{2}n(n-1)+1\) である。
⑥ は \(\dfrac{1}{2}n(n+1)\) である。
N を整数として,2N-1 を N番目の奇数とすれば,
この問題では,⑦ は
\(\dfrac{1}{2}n(n-1)+1\) 番目の奇数である。
したがって,(1)の答えは
\(n^2-n+1\) となる。
ちなみに ⑧ は
\(n^2+n-1\) である。
第n群にある奇数は,
初項 \(n^2-n+1\), 末項 \(n^2+n-1\), 項数 n の等差数列である。
したがって,求める和は
\(\dfrac{1}{2}n\{(n^2-n+1)+(n^2+n-1)\}=n^3\) … (2)答え
群 |
先頭の値 |
|
末尾の値 |
項数 |
先頭の通し番号 |
末尾の通し番号 |
1 |
1 |
~ |
1 |
1 |
1 |
1 |
2 |
3 |
~ |
5 |
2 |
2 |
3 |
3 |
7 |
~ |
11 |
3 |
4 |
6 |
4 |
13 |
~ |
19 |
4 |
7 |
10 |
5 |
21 |
~ |
29 |
5 |
11 |
15 |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
n-1 |
|
~ |
|
n-1 |
|
Ln-1 ☆ |
n |
\(n^2-n+1\) |
~ |
\(n^2+n-1\) |
n |
Hn |
Ln |
\(L_{n-1}=\dfrac{1}{2}n(n-1)\)
\(H_{n}=\dfrac{1}{2}n(n-1)+1\),
\(L_{n}=\dfrac{1}{2}n(n+1)\)