実は,数学の学校設定科目導入は私には先に結論ありきで, あとは,どのように理由をつけるかです。 申請時の私の作文は次のとおりです。
 SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定の研究開発目標の一つに,数学分野における教育課程と指導方法,教材開発および授業実践事例集録を掲げた。
 私は 数学 という言葉にとても愛着があります。 数学という名前を教科,科目から外すのは 本当は適当ではないと思っています。 しかし,数理科学という言葉は,長いけど響きがいい。 そして,数学が理科を包んでいる。 改革するために旗印がほしかったのです。 そこで,奈良女子大学附属中等教育学校で使われていた 数理科学 という語を科目名にすることにしました。
 数理には二つの意味合いを込めています。 一つは,数のことわり です。 かず だけしかないけど, かたち を含めてその性質を研究する。 もう一つは,現象の数理を探る  現象を数学的にとらえる。
 この学校設定科目を実施するにあたっての私たちの心構えを挙げます。
 科目を設計した私がこのカリキュラムで 理数科を対象に授業を行っているのは, 今年が最初なんです。 いつも同じ部屋にいる同僚でも, 思想を共有するのは難しく, 数学の授業は他の教科と同等あるいはそれ以上に 授業者の個性が出るので,無理なことかもしれません。 人によって,どうしても変わってきてしまうのが課題で, 冊子になっている教科書が,生徒,教員ともに必要だと感じています。

つづく