2013年6月だったか,
新潟県の数学教育の勉強会に,
新潟大学の山田和美先生のところで日本の数学教育について研究している留学生が
参加していました。
数学と英語について考えていた私にアイディアが浮かびました。
英語で数学の授業をしてもらえないだろうか。
昨年の鳥取大会では,ホアンさんたちが,
新潟県内のいくつかの高校での講義の様子を発表しています。
数学に限ったことではありませんが,
情報交換をするためには,国際公用語のひとつである英語がどうしても必要になります。
また,私たちは幸せなことに母国語で数学を学ぶことができます。
ですが,それは弊害もあるような気がしています。
私たちは言語を用いて思考しているわけですが,
残念ながら,日本語は論理を正確に記述するには少し不十分なようです。
日本語は,逆の命題,裏の命題が元の命題と同じに聞こえる。
あるいは,必要 十分 のように日常で使われている語句と
多少違って使われるものがある。
英語での表現を学ぶ機会を作ったらどうだろうか
と考えました。
せっかく英語の授業があるのに使う機会がほとんどない。
ツールとして英語を使う機会を作りたかった。
英語で議論するのは大変です。
技能もさることながら,題材が難しい。
歴史も文化も違う人との初対面で,政治の議論は難しい。
英語で議論できる話題として,数学はいい感じで適しているのではないか。
そう思ったのです。
13年度は2回来ていただきました。
1回目は講義でした
(
SSH Bulletin )。
指数,対数の話をしてもらいました。
サニールさんが,イギリス人でないという点がよかった。
そして,ウガンダのブライアンさん,スペインのホアンさんと,
肌の色,目の色も違う人たちが英語というツールを使って,
同じときに 同じ場所で 同じ問題に 取り組むのは,
生徒に対して貴重な体験をさせたと思っています。
もちろん,私にとってもよい体験でした。
ただし,数学の議論はできるけれど,
日常会話や事務手続きについては,
私の英語力では全く足りませんでした。
出直してきます。
2回目は課題研究基礎の発表準備を
見てもらいました。
これが思いのほかよかった。
数学の問題の解法を英語で説明することが課題でした。
5人ほどの4グループに対して,3人の方が直接指導していました。
生徒も講師の方々も日本語は全く使いません。
生徒はそれでも英語でやりとりをしていました。
1年の2月頃でした。
生徒の力にとても感動しました。
14年度は1回でした。
2講座並行でした。
一つは 一刀切り
(
写真1
写真2 ),
もう一つは
幾何の問題に取り組んで
(
写真1
写真2 ),
生徒に英語で発表してもらいました。
生徒の英語は結構でたらめなんだけど,
なぜ英語を学ぶのか,なぜ英語が必要なのか,
学んだ英語を生かす機会を作ってあげられたと感じています。
今年度は今のところ計画がありません。
何かよい手がないかと探しています。
山田和美先生からは,学校図書の小学校教科書の英語版を見せていただきました。
外国への輸出向けという話もありますが,
高校生がそれこそスパイラルの学びに使ってもよいかもしれないと思っています。