160505 初版 160516 更新
整数 aを2つの整数の積への分解を考えます。
例えば, 6 = 2・3, 8 = 2・4, 11 = 1・11.
a = bc と分解したとき,
b は a の約数であるといいます。
整数 b に対して,a = bk (kは整数) となる a を b の倍数であるといいます。
自然数 a が1と自分自身以外に約数をもたないとき,
a は素数であるといいます。
2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, …
24 は 6 の倍数ですが, 24 = 3 × 8 と分解するとき,
3 も 8 も 6 の倍数ではありません。
24 は 3 の倍数ですが,24 = ab とどのように分解しても,
a か b は必ず 3 の倍数となります。
一般に 素数 p は,整数の積 bc が p の倍数ならば,
b が p の倍数であるかまたは c が p の倍数であることがいえます。
素数は無限個あります。
実際,有限個だったとしてそのすべてを掛け合わせた数をN とします。
N + 1 はそれら有限個のどの素数でも割り切ることができませんから,
これを割り切る(あるいはこれ自身が)新しい素数があるはずです。
2 ・ 3 ・ 5 ・ 7 ・ 11 ・ 13 + 1 = 59 ・ 509.
300 = 22・3・52 のように,
自然数を素数の積に完全に分解することを,
素因数分解と呼んでいます。
12の正の約数の集合をA, 18の正の約数の集合をB とします。
A にも B にも属する数を12 と 18 の(正の)公約数といいます。
公約数の集合は A ∩ B (A と B の共通部分)です。
約数の集合は有限集合です。公約数の集合も有限集合です。
その中で,最大の数を
最大公約数と呼んでいます。
この場合 6 です。
すべての公約数は,最大公約数の約数となります。
10 と 21 は公約数が 1 だけです。
言い換えると最大公約数が 1 です。
10 と 21 は互いに素であるという言い方をします。
12の正の倍数の集合をC, 18の正の倍数の集合をD とします。
C にも D にも属する数を12 と 18 の(正の)公倍数といいます。
公倍数の集合は C ∩ D (C と D の共通部分)です。
正の倍数の集合は自然数の部分集合です。
公倍数の集合も同じです。
その中で,最小の数を最小公倍数と呼んでいます。
この場合 36 です。
21×10 は,21 と 10 の公倍数です。
21k (k は 10 未満の自然数) で 10 の倍数となるものはありません。
したがって,210 は 最小公倍数であるといえます。
18×12 は,18 と 12 の公倍数です。
18の倍数のうち,18×2 は 12 の倍数ですので,18×12 は最小公倍数ではありません。
a と b が互いに素であるとき,ab はa と b の最小公倍数となります。
一般に,a, b の最小公倍数を l, 最大公約数を g とすると,
ab = gl が成り立ちます。
実際,a = g a', b = g b' とすると,g の最大性から a' と b' は互いに素です。
積 g a' b' は a, b の公倍数です。
これが最小であることを示します。a の 倍数は 自然数 n で g a' n と表せます。
これが b の倍数でもありますから,g a' n = g b' m,
すなわち,a' n = b' m となります。
a' と b' は互いに素ですから,n は b' の倍数となります。
最小なのは n = b',
したがって,g a' b' = l が成り立ちます。
ゆえに,ab = gl が成り立ちます。