181007 初版 181007 更新
直線上に2点O, A をとります。
点O を中心,線分OA を半径とする円を考えます。
円周上に点P をとり,直線OA に垂線PH を下ろします。
角POH を θ とします。
いま,θ は鋭角であるとします。
直角三角形OPH において,
角θ の三角比の値は次のように定義されていました。
\(\sin \theta=\dfrac{\rm PH}{\rm OP}\)
\(\cos \theta=\dfrac{\rm OH}{\rm OP}\)
\(\tan \theta=\dfrac{\rm PH}{\rm OH}\)
これは,次のように見ることができます。
sin θ は 線分OPの長さに対する 点Pの直線OAからの高さ の比
cos θ は 線分OPの長さに対する 線分OPの直線OAへの射影の長さ の比
tan θ は 直線OAに対する 直線OPの傾き
θ は鈍角とします。
上述の見方を採用して,
直角三角形OPH において,
角θ の三角比の定義を次のように拡張します。
\(\sin \theta=\dfrac{\rm PH}{\rm OP}\)
\(\cos \theta=-\dfrac{\rm OH}{\rm OP}\)
\(\tan \theta=-\dfrac{\rm PH}{\rm OH}\)
θ を鈍角(点P が第2象限にある)とすると
点Pの直線OAからの高さ は 直線OA の上方にあるから,
正弦は鈍角でも同じく 正の値
線分OPの直線OAへの射影 は O より右にあったものが左にあるから,
余弦は鈍角では 負の値
直線OPの傾き は 右下がりの直線だから,
正接は鈍角では 負の値
この定義により,直ちに
sin(180° - θ) = sin θ
cos(180° - θ) = -cos θ
tan(180° - θ) = -tan θ
これらを 補角の公式 と呼ぶことにします。
公式というより,定義の一部のような気がしています。
点P を移動させ,θ の大きさを大きくすると,
sin θ の値は,
θ が鋭角である間は増加,鈍角である間は減少,
θ = 90° で最大値 1 をとります。
θ = 0°, 180° で最小値 0 をとります。
cos θ の値は,減少します。
θ が鋭角である間は正の値,鈍角である間は負の値をとります。
θ = 0° で最大値 1 をとります。
θ = 180° で最小値 -1 をとります。
tan θ の値は,
θ が鋭角である間は正の値をとりながら増加,
鈍角である間は負の値をとりながら増加,
最大値,最小値はありません。
有名角の三角比
sin 0° = 0,
cos 0° = 1,
tan 0° = 0
sin 90° = 1,
cos 90° = 0,
sin 180° = 0,
cos 180° = -1,
tan 180° = 0
sin 120° = \(\dfrac{\sqrt{3}}{2}\),
cos 120° = \(-\dfrac{1}{2}\),
tan 120° = \(-\sqrt{3}\)
sin 135° = \(\dfrac{1}{\sqrt{2}}\),
cos 135° = \(-\dfrac{1}{\sqrt{2}}\),
tan 135° = -1
sin 150° = \(\dfrac{1}{2}\),
cos 150° = \(-\dfrac{\sqrt{3}}{2}\),
tan 150° = \(-\dfrac{1}{\sqrt{3}}\)
これらの値に習熟していると問題を解くのに便利ですが,
有名角だけなら 1 : \(\sqrt{3}\) : 2, 1 : 1 : \(\sqrt{2}\) を唱えていればなんとかなるので,
ちょっとガラパゴス数学 のような気がしています。