格子点虚数のn乗
221122 初版 221122 更新
\((a+bi)^n\) について考えます。
\(\tan\theta=\dfrac{b}{a}\)、簡単のためにa, b は互いに素とします。
\( A=\left( \begin{array}{cc} a & b\cr -b & a\cr \end{array} \right)\)
行列A のトレースを p, 行列式を q とすると、 \(A^2=pA-qE\) (Eは単位行列)
\(A^n=a_nA+b_nE\) とすると、
\(A^{n+1}=(a_nA+b_nE)A\) \(=a_nA^2+b_nA\) \(=a_n(pA-qE)+b_nA\) \(=(pa_n+b_n)A-qa_nE\)
これより、 数列\(\{a_n\}\), \(\{b_n\}\) が、次の漸化式で定まります。
\((a_1,b_1)=(1,0)\), \(a_{n+1}=pa_n+b_n\), \(b_{n+1}=-qa_n\)
成分をqを法としてみると、 An と pn-1A は合同であることが分かります。
\(p^{n-1}\cdot b\) は \(q\) で割り切れるでしょうか。
\((2a)^{n-1}\cdot b\) が \(a^2+b^2\) の倍数となる n がある。…① これは真でしょうか。
いま、a = 1, b = 1 …② とすると、 ① は成り立ちます。 したがって、\((1+i)^n\) が実数となる n がある可能性があります。
すぐ分かるように、\((1+i)^4=-4\)
② 以外の場合を考えます。
a と \(a^2+b^2\) は互いに素です。 b と \(a^2+b^2\) は互いに素です。
つまり、d を \(a^2+b^2\) の約数の奇素数とすると (存在について)、
d は a, b の約数にはなりません。
ゆえに、① は成り立ちません。
したがって、An の (1, 2)成分は 0 になりません。
以上より
(a, b)=(1, 1) 以外の 自然数 a, b に対して、
(a + bi)n が実数となるような自然数 n はありません。