小平邦彦先生の「幾何への誘い」(岩波現代文庫)に誘われて,
この
幾何学1
では「一応正確に描いた図を見れば真であることが明らかな命題」
をもとに高校生向きの幾何学を構成していく。
どのくらいのことが連想できればよいのかを
知りたいので,載せて問題からlinkをはる。
二辺の長さの等しい三角形を二等辺三角形という。
三角形ABCでAB=ACとする。
この三角形ABCは点Aを通る直線を軸にして折り曲げて,
点Bと点Cを重ねることができる。
線分BCの中点をMとすると,
折り曲げてできる2つの
直角三角形
ABMとACMは合同である。
(このあたりは,ユークリッドの原論は厳密に議論しているが…)
したがって,
2つの底角は等しい。すなわち∠ABCと∠ACBの大きさは等しい。
直線AMは辺BCの中線である。
直線AMはAから辺BCに引いた垂線である。
出てくる場面
- ある円の中心Oと円周上の2点A, B
- 円の外部の点Pから円に引いた2本の接線の接点A, B
- 線分ABの
垂直二等分線
上の点P
少し趣を変えて,
∠BAC=θ,
\({\rm AB}={\rm AC}=r\), \({\rm BC}=l\) とする。
余弦定理
により,\(l^2=2r^2(1-\cos\theta)\)
直角三角形ABMにおいて,
三角比の定義
により,\(\sin\dfrac{\theta}{2}=\dfrac{l}{2r}\) だから,
\(\sin^2\dfrac{\theta}{2}=\dfrac{l^2}{4r^2}=\dfrac{1-\cos\theta}{2}\)
これは
半角の公式
である。
相互関係
により,
\(\cos^2\dfrac{\theta}{2}=\dfrac{1+\cos\theta}{2}\)
上の図で,OMの延長で弧BCとの交点をNとし,\({\rm BN}={\rm CN}=l^\prime\)とする。
また,AB=AC=AN=1とすると,
\({l^\prime}^2=2-\sqrt{4-l^2}\)
これは,アル・カーシーの公式と呼ばれる。
正\(n\)角形の1辺の長さから,正\(2n\)角形の1辺の長さを出すために用いることができる。
つまり,円周率の近似値を求めることができる。