逆の考えは、とても基本的な考えである。
数学には逆の考えがふたつある。
ひとつは,逆の命題。
ふたつめは,
逆の対応
である。
数列と関数の考えは、ほとんど違わないと思う。
高校で考察する関数も,
表を用いて書くのがよいと思う。
xの3乗
\(x\) |
… |
-3 |
-2 |
-1 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
… |
\(a\) |
\(-a\) |
\(x^3\) |
… |
-27 |
-8 |
-1 |
0 |
1 |
8 |
27 |
64 |
… |
\(a^3\) |
\(-a^3\) |
この逆対応が,立方根である。
\(x^3:\ x\mapsto x^3\)の対応が1対1であるから,
逆対応は1対1である。
すなわち,
3乗して\(a\) となる数を\(a\) の立方根という。
0の立方根は0のみである。
\(a\)が正の数のときは,正の数が1つ\(\sqrt[3]{a}\) と虚数が2つある。
\(a\)が負の数のときは,負の数が1つ\(\sqrt[3]{a}\) と虚数が2つある。
また,\(\sqrt[3]{-a}=-\sqrt[3]{a}\) である。
新しい記号が出てきた。確認しよう。
\(\sqrt[3]{a}\) はあくまで,ひとつの数を表している。
例
1の立方根は1, \(\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}\), \(\dfrac{-1-\sqrt{3}i}{2}\)である。
\(\dfrac{-1+\sqrt{3}i}{2}\) (正確にはどちらでもよい)はよくωと書かれる。
8の立方根は2, 2ω 2ω² である。2の他は虚数である。
9の立方根は\(\sqrt[3]{9}\) とあと虚数が2つある。これは有理数ではない。
-9の立方根は\(-\sqrt[3]{9}\) とあと虚数が2つある。これは有理数ではない。
24の立方根のうち,実数のものは\(\sqrt[3]{24}\) であるが,
これは\(2\sqrt[3]{3}\) と表すことができる。
例
\(\sqrt[3]{3}+\sqrt[3]{24}=\sqrt[3]{3}+2\sqrt[3]{3}=3\sqrt[3]{3}=\sqrt[3]{81}\)
例
\(\sqrt[3]{2}+\sqrt[3]{3}\)は\(\sqrt[3]{5}\)より大きい。
なぜならば,\((\sqrt[3]{2}+\sqrt[3]{3})^3=5+3\sqrt[3]{12}+3\sqrt[3]{18}\)
実数としての性質も大切である。
\(x_1 < x_2\)である2つの数\(x_1\), \(x_2\)に対して,
\({x_1}^3 < {x_2}^3\)であったから,
2つの数\(a\), \(b\) に対して,
\(a < b\) ⇔ \(\sqrt[3]{a} < \sqrt[3]{b}\)
例
\(2=\sqrt[3]{8}<\sqrt[3]{12}<\sqrt[3]{27}=3\)なので,
\(3+\sqrt[3]{12}\)は5より大きく,6より小さい。
\(3-\sqrt[3]{12}\)は正の数であるが,1より小さい。
\(x\) |
-4 |
-3 |
-2 |
-1 |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
8 |
12 |
24 |
… |
\(\sqrt[3]{x}\) |
\(-\sqrt[3]{4}\) |
\(-\sqrt[3]{3}\) |
\(-\sqrt[3]{2}\) |
-1 |
0 |
1 |
\(\sqrt[3]{2}\) |
\(\sqrt[3]{3}\) |
\(\sqrt[3]{4}\) |
2 |
\(\sqrt[3]{12}\) |
\(2\sqrt[3]{3}\) |
… |
\(2\sqrt[3]{3}\)について考えてみる。
まず,\((2\sqrt[3]{3})^3=2^3\cdot(\sqrt[3]{3})^3=24\)であるから,
\(2\sqrt[3]{3}=\sqrt[3]{24}\)である。
大小関係なら,\(\sqrt[3]{24}\)のほうがよいときがある。
\(1 < \sqrt[3]{3} < 2\)だから,\(2 < 2\sqrt[3]{3} < 4\)であるが,
\(2 < \sqrt[3]{24} < 3\)のほうがよりよい評価である。
\(2\sqrt[3]{3}\)がよい場面を紹介する。
計算の場面であるが,
集合Aを\(A=\{a+b\sqrt[3]{3}|\ a, bは有理数\}\)とすると,
\(\sqrt[3]{24}\in A\), \(\sqrt[3]{81}\in A\), \(\dfrac{1}{\sqrt[3]{9}}\in A\) だが,
\(\sqrt[3]{9}\not\in A\), \(\dfrac{1}{\sqrt[3]{3}}\not\in A\)
指数関数を考える際に,
\(2^1=2\), \(2^2=4\), であるが,
\(2^\frac{4}{3}=2^{1+\frac{1}{3}}=2\sqrt[3]{2}\),
\(2^\frac{5}{3}=2^{1+\frac{2}{3}}=2\sqrt[3]{4}\)
と見ることも,数の感覚を豊かにする。