順列と組合せ,ジュンクミなんていうひともいうが,とても歯がゆい言葉である。
順列も異なるものか同じものを含むか,
全部並べるのか部分的に並べるのか,
一列に並べるのか円形に並べるのか,
とそれぞれ少しずつ異なる。
重複順列と重複組合せという用語は難解である。
このあたり,数学用語というより,受験用語なのだろう。
ならべかえというと私の計算機(コンピュータ)ではまず並べ替えがでてくる。
替えという言葉はさらに私の計算機では「AにかえてBにする」とでてくる。
交代,交替,交換,言葉は難しい。
この頁では,置換を取り扱う。
関数で sin θ を t と置くというのとは違う。
異なるものの並べ換えについて語る。
異なるものを表すには,自然数が便利である。
例えば,5個の異なるものには,1, 2, 3, 4, 5と数を割り当てて抽象化する。
ラーメン屋さんなどにいったときに,2番テーブルさん などと呼ぶことと同じ発想である。
いくつかの異なるものを一列に並べる。
2つのもの 1, 2 の置換は,
12, 21 の2通りである。
これを互換という。
異なる2個の置換を \(\mathfrak{S}_2\), 3個の置換を\(\mathfrak{S}_3\)などと書くことにする。
3つのもの 1, 2, 3 の置換は,
123, 132, 213, 231, 312, 321 の6通りである。
\(\mathfrak{S}_2\)から\(\mathfrak{S}_3\)を作る方法をいくつか挙げる。
(I)
並び abc の a として1, 2, 3としたとき,
bcとして,残り2数を小さい順に並べたものを基点とする。
すなわち,123, 213, 312の3個を基点とする。
次に abc の bc に
\(\mathfrak{S}_2\)による並べかえを行う。
すなわち,abc → abc, acb
123 → 123, 132
213 → 213, 231
312 → 312, 321
小さいものから順に現れるメリットはある。
(II)
\(\mathfrak{S}_2\) の元の末尾に3をつけたものを基点とする。
すなわち,123, 213
次に,それぞれ,2番と3番,1番と3番の互換を行う。
123 → 123, 132, 321
213 → 213, 231, 312
(III)
\(\mathfrak{S}_2\)のそれぞれの元 ab の前後およびあいだに3を入れる。
すなわち,ab → ab3, a3b, 3ab
12 → 123, 132, 312
21 → 213, 231, 321
計算機(コンピュータ)にやらせやすいのは(III)だろうか。
異なる4個の置換を\(\mathfrak{S}_4\)
4つのもの 1, 2, 3, 4 の置換は,
1234, 1243, 1324, 1343, 1423, 1432
2134, 2143, 2314, 2341, 2413, 2431
3124, 3142, 3214, 3241, 3412, 3421
4123, 4132, 4213, 4231, 4312, 4321
の24通りである。
ここにも分類の考えがでてきている。
\(\mathfrak{S}_3\)から\(\mathfrak{S}_4\)を作る方法をいくつか挙げる。
数学のもつ表現力がクローズアップされてきている。
私たちもその表現力を身につけたいところである。
ここでは状態を定式化するために自然数を用いている。
さらに,操作を定式化してみよう。
(I)
並び abcd の a として1, 2, 3, 4としたとき,
bcdとして,残り3数を小さい順に並べたものを基点とする。
すなわち,1234, 2134, 3124, 4123の4個を基点とする。
次に abcd の bcd に
\(\mathfrak{S}_3\)による並べかえを行う。
すなわち,
もと | → |
123 | 132 | 213 | 231 | 312 | 321 |
abcd | → |
abcd | abdc | acbd | acdb | adbc | adcb |
1234 | → |
1234 | 1243 | 1324 | 1342 | 1423 | 1432 |
2134 | → |
2134 | 2143 | 2314 | 2341 | 2413 | 2431 |
3124 | → |
3124 | 3142 | 3214 | 3241 | 3412 | 3421 |
4123 | → |
4123 | 4132 | 4213 | 4231 | 4312 | 4321 |
小さいものから順に現れるメリットはある。
並べかえの元を数で表すと,その数を並びの順番と見ることができる。
(II)
\(\mathfrak{S}_3\) の元の末尾に4をつけたものを基点とする。
すなわち,1234, 1324, 2134, 2314, 3124, 3214
次に,それぞれ,3番と4番,2番と4番,1番と4番の互換を行う。
1234 | → |
1234 | 1243 | 1432 | 4231 |
1324 | → |
1324 | 1342 | 1423 | 4321 |
2134 | → |
2134 | 2143 | 2431 | 4132 |
2314 | → |
2314 | 2341 | 2413 | 4312 |
3124 | → |
3124 | 3142 | 3421 | 4123 |
3214 | → |
3214 | 3241 | 3412 | 4213 |
並び順を入れ換えているので,
例えば,この表の3行目から4行目を作るには,
数字としての1と3を入れ換えればよい。
(III)
\(\mathfrak{S}_3\)のそれぞれの元 abc の前後およびあいだに4を入れる。
すなわち,abc → abc4, ab4c, a4bc, 4abc
123 | → |
1234 | 1243 | 1423 | 4123 |
132 | → |
1324 | 1342 | 1432 | 4132 |
213 | → |
2134 | 2143 | 2413 | 4213 |
231 | → |
2314 | 2341 | 2431 | 4231 |
312 | → |
3124 | 3142 | 3412 | 4312 |
321 | → |
3214 | 3241 | 3421 | 4321 |
\(\mathfrak{S}_4\)の元くらいは挙げられるようにしたい。
いろいろな説明があるが,
並び換えは逐次的(successive), 帰納的(inductive),
再帰的(recursive)な
考えである。
入れ子(マトリョーシカ人形)の状態になっている。
n! = n(n-1)(n-2)… 3 • 2 • 1 とする。
\(\mathfrak{S}_n\) の元の個数は n! である。