いわゆる位置ベクトルの話を期待した人は,
前回の話はがっかりだったかもしれない。
3点 A, B, C をとる。3点で三角形ができるとする。
3点 A, B, C を通る平面はただ1つ決まって,
平面 ABC と名づけることができる。
平面 ABC 上の点 P の位置はどうやって表せばよいのか。
答えは,分解である。
これは,位置ベクトルの話題である。
3点のうち1つを基準点とする。
いま,A としよう。
結論を言うと
平面ABC 上の任意の点P に対して,
次の式を満たす実数の組 (s, t) がただ1組存在する。
\(\overrightarrow{\rm AP}=s\overrightarrow{\rm AB}+t\overrightarrow{\rm AC}\)
\(\overrightarrow{\rm AB}\) を A を基点とする B の位置ベクトル
\(\overrightarrow{\rm AC}\) を A を基点とする C の位置ベクトル
\(\overrightarrow{\rm AP}\) を A を基点とする P の位置ベクトル
という。
P の位置ベクトルは B の位置ベクトルと C の位置ベクトルの線型結合でかけるという。
また,位置ベクトルの考えは座標の考えの一般化である。
係数の組 (s, t) を P の 基底 \(\overrightarrow{\rm AB}\), \(\overrightarrow{\rm AC}\) に関する
affine 座標 (斜交座標) という。
Pが直線AB 上にあるならば t=0 であり,逆もいえる。
Pが直線AC 上にあるならば s=0 であり,逆もいえる。
Pが直線AB または AC上にないとする。
Pを通りACに平行な直線が引け,それは直線AB と交わる。
交点をDとすると,
\(\overrightarrow{\rm AD}=s\overrightarrow{\rm AB}\) なる s がある。
(なぜなら,
こちら)
同様に
Pを通りABに平行な直線が引け,それは直線AC と交わる。
交点をEとすると,
\(\overrightarrow{\rm AE}=t\overrightarrow{\rm AC}\) なる t がある。
四角形ADPE は平行四辺形だから,
\(\overrightarrow{\rm AP}=\overrightarrow{\rm AD}+\overrightarrow{\rm AE}\)
(ベクトルの和の 合成(寄せ算)としての役割)
すなわち,
\(\overrightarrow{\rm AP}=s\overrightarrow{\rm AB}+t\overrightarrow{\rm AC}\)