160524 初版 160604 更新
x - 2 との積について,次のような計算があります。
(x - 2)(x + 2) = x
2 - 4
(x - 2)(x + 1) = x
2 - x - 2
(x - 2)(2x + 1) = 2x
2 - 3x - 2
(x - 2)(2x + 3) = 2x
2 - x - 6
(x - 2)(2x + 5) = 2x
2 + x - 10
(x - 2)(x
2 + 2x + 4) = x
3 - 8
(x - 2)(x
2 + 2x + 3) = x
3 - x - 6
(x - 2)(x
2 + 2x + 2) = x
3 - 2x - 4
いずれの式でも,右辺の多項式は x - 2 の 倍数である ということがあります。
x - 2 は x
2 - x - 2 の 約数である ともいいます。
2x
2 - 3x - 2 は x - 2 を
因数にもつ ともいいます。
もちろん,どんな多項式でも x - 2 の倍数になるとは限りません。
(x - 2)(2x) = 2x2 - 4x
(x - 2)(2x + 1) = 2x2 - 3x - 2
(x - 2)(2x + 2) = 2x2 - 2x - 4
(x - 2)(2x + 3) = 2x2 - x - 6
(x - 2)(2x + 4) = 2x2 - 8
(x - 2)(2x + 5) = 2x2 + x - 10
これより,任意の b, c に対して,A = 2x2 + bx + c は A - R が x - 2 を因数にもつような定数 R があることが分かります。
例えば,A = 2x2 - x - 10 とすると,A + 4 は x - 2 を因数にもちます
一般に 任意の多項式 A に対して,A - R が 1次式 x - k を因数にもつような定数R があります。
さらに,与えられた x についての多項式A, B に対して,A - R が B を 因数にもつような B より次数の低い多項式 R があります。
いま,A = x3 -2x2 + 3x + 4, B = x2 + 2x - 4 としましょう。
A - Bx = -x2 + 7x + 4
A - B(x - 1) = 5x + 8
このとき,5x + 8 は A を B で割ったときの余り と呼ばれます。
x - 1 は 商 と呼ばれます。
このように,与えられたA, B に対して,
A = BQ + R を成り立たせる Q, R が決まります。
R は B より次数の低い多項式です。
この決まり方は一意です。
実際,2組あったとして,
A = BQ + R = BQ' + R' としましょう。
これより B(Q - Q') = R' - R
R' - R は B の倍数で,
しかも B より次数の低い多項式ですから,定数 0 しかありえません。
よって,R' - R = 0, すなわち,Q = Q' かつ R = R' が成り立ちます。
このことを 除法の原理 と呼んでいます。
除法とは A, B に対してこのような Q, R を求めることです。
実際の手順は,
除法の筆算,
1次式の組立除法,
2次式の組立除法 を見てください。
x についての多項式を P(x) という記号で表すことがあります。
(参考
関数)
例えば,P(x) = x
2 + 2x - 1 とします。
このとき,x に 1 を代入することを P(1) と書きます。
P(1) = 2.
また,P(a) = a
2 + 2a - 1,
P(a - 1) = a
2 - 2
多項式 A(x) を 1次式 x - k で割ったときの商を Q(x),
余りを R とします。R は定数です。
このとき,
A(x) = (x - k) Q(x) + R が成り立ちます。
A(k) = (k - k) Q(k) + R ですから,
R = A(k) このことを 剰余の定理 と呼ぶことがあります。
この特別な場合を
因数定理 と呼んでいます。