160808 初版 160808 更新
2を3個掛け合わせたものを,2の3乗という。2 の n 乗したものを,n=1, 2, 3, … と並べていくと,初項2, 公比2 の等比数列が得られます。
数列①: 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 256, 512, 1024, 2048, …
これを,2の累乗と呼ぶことにします。
このようにして,自然数n から実数 2n への対応が得られます。
一般に,自然数n から実数 an への対応が考えられます。
ここで,a は正の数とします。
対応②: n ↦ an
自然に,次の法則③ が成り立ちます。
\(a^m\times a^n = a^{m+n}\), \(a^m\div a^n = a^{m-n}\),
\((a^m)^n = a^{mn}\), \((ab)^n =a^n\times b^n\)
数列① はある項の右隣りは2倍になっています。
言い換えると,ある項の左隣りは\(\dfrac{1}{2}\)倍になっています。
このようにしてこの数列を左に拡張します。
対応② の定義域は,整数に拡張することができます。
\(a^0=1\), \(a^{-1}=\dfrac{1}{a}\),
\(a^{-n}=\dfrac{1}{a^n}=\left(\dfrac{1}{a}\right)^n\)
この拡張により,法則③ の \(a^m\div a^n=a^{m-n}\) において,m ≦ n の場合の
右辺の意味づけがはっきりしました。
次に\(2^{\frac{1}{2}}\) の意味について考えて見ましょう。
n が自然数のときの,4
n-1 の数列
数列④: 1, 4, 16, 64, 256, 1024. 4096, …
において,それぞれ項の中央を考えることにします。
数列⑤: 1, □, 4, □, 16, □, 64, □, 256, □,1024, □, 4096, …
数列⑤ はある項の2つ右隣りは4倍になっています。
すぐ右隣りは2倍と考えるのが妥当です。
すなわち,\(4^{\frac{1}{2}}=2\),
\(4^{\frac{3}{2}}=8\),
\(4^{\frac{5}{2}}=32\),
\(4^{\frac{7}{2}}=128\),
\(4^{\frac{9}{2}}=512\),…
\(2^{\frac{1}{2}}=\sqrt{2}\),
\(2^{\frac{3}{2}}=2\sqrt{2}\),
\(2^{\frac{5}{2}}=4\sqrt{2}\),
\(2^{\frac{7}{2}}=8\sqrt{2}\),
\(2^{\frac{9}{2}}=16\sqrt{2}\),…
一般に \(a^{\frac{1}{2}}=\sqrt{a}\),
\(a^{\frac{1}{n}}=\sqrt[n]{a}\)
(
n乗根)
これにより,対応② の定義域は有理数に拡張することができます。
この操作の連続性を仮定すると,対応② の定義域は実数に拡張することができます。
この対応を指数関数といいます。
底 a は 1ではない正の数を取ります。
例えば,\(4^x=2^{2x}\) ですから,実質底は1種類しかありません。
法則③ は実数で成立することとします。
連続性を仮定するということを数列を使って説明します。
ある実数 r に収束する有理数の列 { rn } があるとします。
つまり,\(\displaystyle{r=\lim_{n\rightarrow\infty}r_n}\)
このとき,\(\displaystyle{\lim_{n\rightarrow\infty}a^{r_n}}\) を \(a^r\) と定めるのです。
指数関数 x ↦ a
x は 実数から実数への関数です。
定義域はすべての実数,値域は正の数です。
指数法則を通じて,この関数は準同型写像であるといいます。
2つの実数 m, n に対して,関数の値 M = a
m, N = a
n をとるという
対応は,
定義域の実数の集合A においての加法,m + n,
値域の正の数の集合B においての乗法 M・N とが可換であるからです。
すなわち,加法の後の関数の値と,関数の値の後の乗法の結果が一致します。