http://goo.gl/MFRFj 130115 初版
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同じような記号を使うが,
この頁では関数の極限を記述する。
例から学ぶ数Ⅲということで,
ここでも記号の説明よりは,例とそうなる理由を述べていく。
目標のためにはささやかなふたつの極限
(これと
これ)が必要である。
そのためだけに技巧的な極限の計算をするのはどうかと思う。
むしろ,技巧を離れた極限の意味と,ためになる例をいくつか知っていたほうがいい。
技巧もどこかにまとめようとは思うが(例題ということにしよう),
数Ⅲは例がますます重要である。
気が向いたら説明もつけようと思う。
例1:
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow 2}(x+2)=4}\)
高校生を見ていると,記号の読みに甘いものがいる。
仕方ないのかもしれない。
これは xを2に近づけたら, x+2 は 4 に近づくことをいっている。
x は 2 ではないので,x+2 は 4 ではない。
極限はグラフのイメージが大切である。
数列の極限は,ただ
項番号 n を大きくすると \(a_n\)の値はどうなるかというのが,
問題であった。
関数の極限は大きく分けて3種類ある。
- x をどんな正の数よりも大きくすること \(x\rightarrow +\infty\)
x をどんどん右にもっていくということにする
- x をどんな負の数よりも小さくすること \(x\rightarrow -\infty\)
x をどんどん左にもっていくということにする
- x をある数 a に近づけること \(x\rightarrow a\)
ある数に近づける場合は,近づけ方には2通りある。
- x をある数 a に大きいほうから近づけること \(x\rightarrow a+0\)
a に右から近づけるということにする。
- x をある数 a に小さいほうから近づけること \(x\rightarrow a-0\)
a に左から近づけるということにする。
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow a+0}f(x)}\) と
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow a-0}f(x)}\) と
が一致していなければ,
\(x\rightarrow a\) のときの極限はは存在しない。
関数の極限は本来こんな面倒なことをしなくてはいけないが,
上手いことがある。
まず連続ということを定義する。
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow a+0}f(x)}\) と
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow a-0}f(x)}\) と
f(a) の3つの値が存在して等しいとき,
f(x) は x=a で連続であるという。
グラフがつながっていることの説明であるが,
なあんだ,というのは軽すぎる。
グラフがつながっているという見た目を論理で説明しているのである。
小学生相手なら,連続っていうのはグラフがつながっていることです。
と説明するが,高校生ならこう説明する。
でもまだ不十分らしい。
これが発達段階というものらしい。
したがって,
関数 f(x) が x=a で連続ならば,
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow a}f(x)=f(a)}\)
扱う関数は大抵連続であるから,
高校での極限計算はこれに帰着するか,直感である。
例2-1:
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow 2+0}\dfrac{x^2-4}{\left|x-2\right|}=4}\)
x=2+ε とする。(εは0よりほんの少し大きな正の数とする。)
\(\dfrac{x^2-4}{\left|x-2\right|}=\dfrac{(2+\epsilon)^2-4}{|\epsilon|}\)
\(=\dfrac{4\epsilon+\epsilon^2}{\epsilon}=4+\epsilon\) だから
+ε は,0より少し大きいことを表す。だが,どんな正の数よりも0に近い。
-ε は,0より少し小さいことを表す。だが,どんな負の数よりも0に近い。
これらの記号は,無限小と呼ばれる。
考えとしてはおもしろい。
例2-2:
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow 2-0}\dfrac{x^2-4}{\left|x-2\right|}=-4}\)
x=2-ε とする。(εは0よりほんの少し大きな正の数とする。)
\(\dfrac{x^2-4}{\left|x-2\right|}=\dfrac{(2-\epsilon)^2-4}{|-\epsilon|}\)
\(=\dfrac{-4\epsilon+\epsilon^2}{\epsilon}=-4+\epsilon\) だから
例3-1:
[x] は ガウス関数である。
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow 3+0}\dfrac{x^2}{[x]}=3}\)
x=3+ε とする。(εは0よりほんの少し大きな正の数とする。)
\(\dfrac{x^2}{[x]}=\dfrac{(3+\epsilon)^2}{[3+\epsilon]}\)
\(=\dfrac{9+6\epsilon+\epsilon^2}{3}\) だから
例3-2:
[x] は ガウス関数である。
\(\displaystyle{\lim_{x\rightarrow 3-0}\dfrac{x^2}{[x]}=\dfrac{9}{2}}\)
x=3-ε とする。(εは0よりほんの少し大きな正の数とする。)
\(\dfrac{x^2}{[x]}=\dfrac{(3-\epsilon)^2}{[3-\epsilon]}\)
\(=\dfrac{9-6\epsilon+\epsilon^2}{2}\) だから
こんな感じで,例を挙げていく。
つづく